かつて魚の保存といえば、砂の中に数日埋めることでした。 今では冷蔵庫のおかげではるかに楽になっています。 よくある話ですが、新しい料理は必要に迫られた結果や、思いがけない偶然で生まれます。 そうでなければ、水揚げされたばかりの魚を洗って塩をまぶして地面や砂の中に数日埋めておくなどというアイデアを誰が思いつくでしょう? このやり方はスカンジナビアで数百年前に編み出され、「埋められたサケ」という意味の呼び名(スウェーデン語で「グラヴァド・ラックス」、ノルウェー語で「グラヴラクス」)で知られてきました。 英語の「グレイヴド・ラックス」の語源がこれです。 土や砂の物理的な圧力と、砂糖と塩の漬け汁によって、サケから水分が絞り出されます。 乾燥と発酵が同時に起こり、魚がより長持ちするのです。 そのため、スパイスをまぶした魚を保管する際には、ラップや大きめの冷凍用ポリ袋で包んでできるだけ空気に触れないようにし、冷蔵庫の中で缶詰を使うなどして押して保管することが重要です。 基本的に、保存には塩と砂糖で十分です。 ハーブが使われるのは風味付けのためだけです。 ディル、チャービル、パセリなどの昔からあるハーブのほかにも、レモンバーム、ベイリーフ、コリアンダー、マジョラムを使えます。 粗挽きしたコショウの実で作ったスパイスも、マスタードの種、ピメント、ジュニパー、カルダモン、コリアンダー、フェンネルの種など合わせることでバラエティを持たせられます。 浸けて置いたスパイスやハーブを取り除いた後のサケにオリーブオイルをたらせば、乾燥を防ぐことができます。