甘くてジューシーなイチジクはデザートにぴったりのフルーツ。生ハムと合わせれば簡単にオードブルにもなります。
地中海沿岸の地域では、はるか昔から兵士や巡礼者のエネルギー源として重宝されてきたイチジク。それもそのはず、イチジクには豊富な炭水化物(つまりカロリー!)とミネラル、ビタミンが含まれています。学術的には、クワ科に属する学名Ficus caricaの偽果(めしべの子房以外にできる実)で、現在ではトルコ、ギリシア、スペイン、フランス、中東諸国、米国カリフォルニア州、南アフリカが主な産地となっています。
イチジクにはいくつかの種類があり、外見の色によって味が異なります。
緑:薄緑色の厚い皮で覆われており、果肉は柔らかいですが、味にこれといった特徴はありません。
紫:皮は厚めですが柔らかく、洋なしのような形の小型の実で、とてもジューシーです。
黄色(マルセイユ種など):白っぽい厚めの皮で、とても甘く、口の中でとろけます。
青紫(ヌアールドカロン種など):細長い形で、青紫の皮は非常に薄く、果肉はピンク。最も甘味が強くジューシーで、香りも高いタイプです。
黒(AOCヴィオレット・ド・ソリエ種、ブラックイスキア種、バルニソットノワール種など):底が平らな大型の実で、果肉はラズベリー色。ジューシーさは劣りますが、香りは絶品です。
皮が薄いものは皮ごと食べられますが、厚いタイプは皮をむき、半分に切って果肉をスプーンですくって食べます。
熟したイチジクの皮は破れやすいため、押しつぶれないよう注意しましょう。新鮮なイチジクを見分けるコツは、実が柔らかすぎず、軸が硬いものを選ぶこと。特に皮が厚い紫イチジクは、ウサギ、ホロホロ鳥、鴨、ポークの肉料理の付け合わせによく使われます。オーブンで焼いた後、スープストックで数分間煮ればでき上がりです。
文:ライナー・マイヤー